A1. 基本的に同じものです。
「EPS(Expanded Poly-Styrene)」は、1955年にドイツで本格生産が開始されたので、原料の名称であるStyrol(ドイツ語)から派生した 「発泡スチロール」 という呼び名で一般に親まれています。
また、Styrene(英語)に由来する「発泡スチレン」や「フォームスチレン」「発泡ポリスチレン」等々たくさんの別名があります。
A2.
優れた性質を持つプラスチックのスチロール樹脂(ポリスチレン)は、様々な形で皆さんの身の回りで役立っています。
この樹脂を発泡したトレイもEPSも化学成分はほとんど同じですが、それぞれ製法や発泡剤などが少しずつ異なる3兄弟といったところです。
3~5mm程度の発泡粒子を金型内で融着して成形するので、様々な形状の成形体が得られます。着色されたものもあります。 製造工程でフロンを一切使用していないこと、他の断熱材に比べてリサイクルが最も進んでいる点で、環境負荷が少ない断熱材です。
ポリスチレンと発泡剤(炭化水素系が主流)を押出機内で溶融混合してスリットから連続的に押し出してできあがります。 押出された発泡体は徐冷され裁断された後、板状にスライスした保温板として主に使われます。製造各社によって色が異なります。
XPS同様、樹脂と発泡剤をスリットから押出して10倍程度に発泡しますが、厚さ数mmのシート状に引き延ばした後に加熱再発泡させ真空成型により、 食品トレイなどとして使用します。
A3. いいえ違います。「スタイロフォーム」と呼ばれるのは、ダウ化工(株)の商標で、発泡プラスチック系断熱建材の一般名称で はありません。EPSは、日本工業規格(JIS A9511)では、「ビーズ法ポリスチレンフォーム」という名称が採用されており、基材樹脂が同じでも製造方法 の異なる「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」と区別しています。
A4. EPS断熱建材は不燃材ではありませんが、難燃剤が添加されており、燃えにくくなっております。
⇒ EPS燃焼性試験、JIS規格と関連諸規格
⇒ EPS防火構造認定の技術資料
⇒ EPS防火構造認定についての解説
A5. 建材で気になるのが火災時に発生する燃焼生成物の毒性です。EPSは不完全燃焼する時に黒い媒(炭素粒子)が多量に発生するため、とかく悪い イメージを持たれやすいのですが、以下に示した文献にも急性毒性を示す塩化水素(HCL)やシアン化水素(HCN)の発生は示されていません。
⇒ ガス有毒性試験
A6. EPSの断熱性能は密度によって異なり、JIS A 9511「発泡プラスチック保温材」に規定されています。
A7. 省エネ基準に基づき、断熱材の厚さは省エネ工法、施工部位、地域区分に応じ異なります。詳細は下記を参照下さい。
A8. EPSにはフロンは一切使用していません。EPSの発泡剤は、炭化水素で、主にカセットコンロやガスライターでおなじみ の天然ガス「ブタン」や原油成分である「ペンタン」などが使われています。
原料の樹脂を発泡させたあとの細かな気泡の内部は、ほとんど、空気であり、はじめから「フロン」は含まれていません。 このため、EPS製品を廃棄しても、大気中へ「フロン」が放散されることはありません。
⇒ EPSはノンフロンの発泡プラスチック
⇒ 熱伝導率の長期経時変化
A9. EPSは炭化水素系発泡ガスを用いておりますが、製造後、短期間で大部分のガスは空気と置換される為、長期に渡って熱伝導率の変化が小さい断熱材です。
⇒ 熱伝導率の長期経時変化
⇒ 昭和基地無電棟に使用されたEPS断熱材
A10.製造工程においてシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを一切使用しておりません。よってJIS A9511でも無試験でF☆☆☆☆ 表示可能となっております。
A11.EPSは地球温暖化・オゾン層破壊に配慮したグリーン購入適合商品です。
A12.発泡スチロールのリサイクルには現在3つの方法があり、再び私たちの生活の中で役立っています。
・マテリアルリサイクル | プラスチックの原料として再資源化し、プラスチック製品等に再利用します。 |
・ケミカルリサイクル | 熱や圧力を加え、ガスや油として再資源化し、燃料等に再利用します。 |
・サーマルリサイクル | 燃焼させる事で、高い熱エネルギーを発生させ発電等に再利用します。 |
A13.長期間紫外線にあたると表面が劣化します。保管時は出来る限り直射日光をさけ養生シート等で保護して下さい。
A14.多くの優れた特性のあるEPSですが、使用にあたっては以下の点に注意して正しくご使用ください。
A15.EPSは、有機溶剤(アルコール類を除く)や石油類に侵されますので、接着剤には以下のものをご使用ください。