EPS断熱材の施工
気密層の取り方については,要求する気密性能等に応じていろいろな方法があります。断熱材の張り方については,断熱材相互には必ず僅かな隙間が生じるので,その隙間を補間するために一般ボード状EPS断熱材では目地をずらした2層張り以上とします。一層張りの場合は,合いじゃくりしたEPS断熱材の使用や継ぎ手の気密テープ措置,透湿防水シートの併用が適しています。使用する木ビスは,断熱材と通気胴縁の厚さに応じ,柱や間柱に40㎜以上打ち込める長さを使用してください。10㎜前後の構造用面材を介す場合は,その構造用面材がビスが効き硬い面材の構造用合板や構造用パネルの場合は,その厚さを打ち込み深さにカウントし,せっこうボードや繊維板のようにビスが効かず比較的柔らかい面材の場合はその厚さ分を打ち込み深さにはカウントしません。また,木ビスには鋼製メッキ品とステンレス品がありますが,要求される防さび性能に応じて使用し,外壁に防火構造がかかる場合は,各防火構造認定にビスの仕様や使用長さが規定されていますので仕様に応じたビスをご使用ください。
防湿気密フィルム,透湿防水シートの施工
ロール状の防湿気密フィルムや透湿防水シートは,建物形状・足場等の実状に応じてサイズ(1m巾,3m巾等)を選び,原則横張りで施工します。横目地は100㎜以上重ねをとり,水仕舞を考慮して上のフィルム(シート)勝ちとします。縦目地は,横目地と同様に100㎜以上重ねを取り,必要に応じて気密テープ処理してください。
[土台廻り]
基礎断熱工法の土台廻り
外張り断熱と基礎断熱工法の土台廻りは防湿層(気密層)が連続して施工しやすい組み合わせです。基礎天端はセルフレベリングモルタル等で水平に造り,気密パッキンを挟んで気密を確保します。帯状の防湿気密フィルムがついた土台専用の気密パッキンが販売されており,その場合はフィルムを外側に出し,壁防湿層を上から重ねて防水を担保します。土台の受け材については,施工する断熱材厚さに応じ,また,通気胴縁の端部をしっかり留めたい場合など,任意で施工してください。
床断熱の土台廻り
外張り断熱では防湿層(気密層)が軸組の外側にあります。そのため,床組で床根太を乗せ掛ける場合,防湿層(気密層)を連続させるには乾燥木材で気密層兼気流止めを設けますが各種ボルト類をかわしながら施工するのは面倒です(右図左)。プラットフォーム工法やネダレス工法の場合(右図右)は,床防湿気密フィルムの端部を気密テープ張りし,乗せ掛けた床合板(パーティクルボード)で圧着すれば良く,大きな手間も掛からないので外張り断熱と床断熱を併用する場合は,後者が適しています(枠組壁工法で外壁を外張り断熱,床を充填断熱する場合も同様です)。
[開口廻り]
断熱性能が高い木造用の樹脂サッシュには大きく,半外付け,外付け,完全外付けの3種類のサッシュがあります。種類が豊富で一般的なサッシュは半外付けサッシュで,取り付け面からの開口枠の出が約65㎜であり,外付けは約88㎜,完全外付けで約115㎜程度です。外張り断熱の場合,断熱材と通気層とサイディング厚さ分外壁がふけるため,使用するサッシュの開口枠の出に対し,外張り断熱部分の厚さが大きい場合は,サッシュ取り付け箇所に木枠を設けて取り付け位置を調整します。防水に係る開口木枠は先張り防湿気密フィルムと気密テープでしっかり覆ってください。
[天井充填断熱との取り合い]
外壁と天井の防湿層を連続させるため,気密層を兼ねる気流止めを乾燥木材で設けます。天井防湿気密フィルムは気流止め部分で折り返し,内装材で圧着します。構造用面材と気流止めの界面には気密パッキンを挟んで気密を確保します。