在来木造のEPS屋根充填断熱
屋根たる木間充填断熱(断熱境界とする場合)
たる木間充填断熱部位を断熱境界とする場合は,母屋や小屋束が入り組んで防湿層の連続を確保するのが難しく,施工も手間がかかります。また,高断熱すべき屋根(天井)で厚い断熱厚さが確保しづらいため,たる木間充填を行う場合,枠組壁構造との混構造とした方が有利です(枠組壁工法屋根断熱をご参照)。なお,断熱部位を断熱境界としない場合(小屋裏空間の一次遮熱の意味で施工する場合)は,防湿層(気密層)も必要ないため,適宜EPS断熱材を施工してください。
登り梁間充填断熱
登り梁は室内空間を広く,開放的に見せる有効な手段であるとともに,登り梁は懐が大きいので高断熱化に向いています。
下図は6尺ピッチの8寸登り梁と3尺ピッチの3寸5分の小梁とした参考図ですが,スパンや施工したい断熱厚さ等々で造り方は様々です。しかし,充填断熱で留意する点は,屋根通気層と充填断熱材の界面にはフェイルセーフとしての防風層(透湿防水シート等)が有効なこと。下図のように登り梁を化粧として見せたい場合は,室内側防湿層の施工に手間がかかる点,充填する断熱材厚さ等に応じて最適な受け材を設けなければならない点が挙げられます。特に意匠的な意味がなければ,屋根断熱を行う場合,枠組壁構造との混構造とした方が簡単です。
枠組壁工法の屋根断熱
枠組壁工法の屋根は広いスパンを飛ばせ,室内側の防湿層も断点ができにくく,厚くシンプルな屋根たる木間には厚い断熱材を施すことができます。在来木造の屋根にも混構造で行えます。下図は212の場合ですがたる木種類に関わらず断熱材巾は417㎜です。通気層は30㎜以上で作ればよく室内側は内装材の受け材が必要になります。通気層を構成する受け材の厚さや,内装受け材の厚さ等は任意なので,屋根たる木サイズも含め,いろいろな組み合わせが考えられます。EPSボードは厚み対応が比較的容易(受注生産)なので様様なニーズの屋根断熱に対応できます。
EPSの横目地は重ならないように施工します。また,一般EPSボードのカット品を使用する場合,実際に使用する寸法は417㎜に対し,2~3㎜のクリアをとったものを使用しますが,小さめの場合は入れても落っこちてくるので,適宜たる木側面に釘打ちして支えたり,内装受け材を設けるなど等,仮止めしながら施工してください(巾方向に伸縮機能がある特殊加工のEPSも使用できます。壁充填の項をご参照)。また,きつめの場合は一層目以降は裏面の空気がエアクッションとなり押し込みづらくなる場合があります。
屋根断熱の棟換気
屋根通気層は棟に排気口を設けます。現在は市販の棟換気部材の使用が一般的です。
板金やスレート葺き等,屋根仕上材に応じて使用してください。
造作する場合は,虫や小動物の侵入を防ぐため,排気口には防虫網を巻き込んで取り付けてください。